不動カリンは一切動ぜず

SFだと思って読み始めたのに、終わってみたら宇宙皇子でした。なにこれ、凄い面白い!

不動カリンは一切動ぜず (ハヤカワ文庫JA)

不動カリンは一切動ぜず (ハヤカワ文庫JA)


ヒトの体細胞を別人の遺伝情報で書き換えてしまおうとして、結果細胞が破壊されて死んでしまう恐ろしいウイルス HRV(Human Reconstruct Virus) の万延により、セックスは即死を意味し、家族が血と性から解き放たれた近未来を舞台にしたお話です。

人々は手に埋め込まれた「ノード」を介して思念をやりとりします。ただし直接ではなく「媒介点」という中空に浮かぶ装置を通して。国はネットワークを介して人々の思念を知ることが出来、「強制善人」なる罪人に正義の味方を強制する仕組みまである世界。そんな世界での政治運動や宗教の姿が描かれ、そしてそこに「情報染色」──思念の塊に「色」をつけてその拡散をトレースする・・何かを知ったことが即座にトレース可能となってしまう技術を思いついた科学者がいて・・・。

そんな世界観にワクワクするSFの王道をいく造りでありながら、あくまでSF的に、次第に次第に話を進めるうちに、気がつけば宇宙皇子になっているというあり得なさ。そのカオス度合いが半端ありません。あまりの展開に、SFとよくできた中二病は区別できない──なぁんてフレーズを思いついてしまいました。ウハッ、なにこれ!おもしろーーい!!

というわけで、わたし的には大変おすすめです。

追記

わすれてました。一応百合です。(ごった煮が凄くってすっかり忘れてました9