なれる!SE 2

前巻のレビューでは、JavaBlack さんに美味しいところを根こそぎ持って行かれてしまった気がして複雑なわたしです。うちはブクマ1個なのに...orz

いあいあ、そこはさすがはブラックの本家の地力、レビューの面白さで敗北したことを素直にみとめなければいけません。しくしく。


さて、続刊。今回は構築と運用の仁義なき戦いです。

なれる!SE (2) 基礎から学ぶ?運用構築 (電撃文庫)

なれる!SE (2) 基礎から学ぶ?運用構築 (電撃文庫)

・・・ですが、うーん。なんだか、これ すっかり(悪い意味での)ラノベになってしまいましたなぁ。前巻は「あるある」とデジャブを覚えるリアリティが売りでしたが、この巻は あらすじにしちゃうとか、エピソード抽出すれば「あるある」なのですが、ちゃんと身を読めば凄いフィクションで、ラノベ的には(というかフィクションとしては)普通のことですが、前巻の息苦しさに愛着を感じ始めた一ドカタとしては、非常に残念な次第です(まぁ電車に飛び込む 運用SE をリアルに書かれても・・それはそれでドン引きなのですが)。

主人公が上条さん的オーラを漂わせ始めたのも、なんだかなぁです(彼には廃人になって業界を引退するリアルすぎる結末を迎えていただきたい、という偏った一読者の意見)。いいぜ、構築と運用が敵同士なんて、まずはそんなふざけた幻想をぶち殺す!

今回追加されたのが新ヒロイン、運用部門の姪乃浜梢。ダブルヒロインツンデレとデレデレ)の三角展開に突入したりと、長く続くシリーズになりそうですが、はてさて、ブラックネタの引き出しが何処まで続くかしら、クフフフ、とほくそ笑みながら 今後も応援したいシリーズです。


* * *


さて、ちょっとだけ自分語りをしてしまいますが、わたしのとってもブラックな最初の会社、回路設計とファームウェアが主業務でしたが、物流系のお仕事も多かったのです。自動倉庫とか、ソーター(物流センターにある商品を店毎のコンテナに仕分ける機械)とか。

で恐ろしいことに、我が社には運用を担う部署も人もいませんでした。

プログラマーは自分の開発したシステムを、会社を辞めるその日まで、未来永劫サポートしつづけるのです。夜も朝も昼も、休日も。いつ何時お客様から「動かない」「止まった」という電話があるやもしれぬ、まったく気の休まらない生活です。わたしの同僚は、朝通勤途中にお客様から電話があり、駅のホームでリモートでシステムに入り復旧させたりしてました*1。、

しかも長く努めれば努めるほど、作ったシステム=サポートするシステムが増えるので、トラブルに割かれる時間は増えていきます。それで割かれた時間は 今開発中のシステムの作業工数を圧迫します。続ければ続けるほどシステム開発の難易度が上がっていく現場・・・・・これはどこぞのシューティングゲームですか?しくしく。


そんなわけで、

工兵は理解した。
そうか、なるほど話が繋がった。
「運用引き継ぎが終わらないせいで、室見さんの稼働が次の構築に割けなかった。そういうことですね。」

・・・・・・うはぁ。
予想以上にひどい状況だった。というか本当に室見さんは災難だな・・・・・・。客と運用部隊双方から苛まれ、必死に障害対応しても今度は構築の遅れを責められる。ぶち切れそうになるのも当然だった。

には、やっぱり酷いデジャブを覚えるのです。ゆるさん、ゆるすまじ!OS部(運用部門)の姪乃浜梢!!だいたい、

「今回のリドルリドルだってそうよ。ええ、確かに私言ったわよ。複数のベンダーの継ぎ接ぎシステムで色々と障害も多いって。でもね、だからって全障害ケースを洗い出して対応フローを作れとか無茶苦茶だと思わない?」
「ぜ、全障害ケース?」
「想定される全ての障害に対応プランを策定しろって、そんなもんできるわけないでしょ!

といって引き継がないなんて・・・・・・。敵だ。ヤツは敵ですよ・・・・・・。モ、、モグ、、モルグに葬り去ってしまいたい気分でいっぱいです。

そんな風に怒りを読書欲に変えて読み進むのが愉しい小説。SE/元SE にはやっぱりおすすめです。
(注:姪乃浜側にも言い分はあるのですが、恣意的にバッサリオミットしちゃいました。そこら辺は是非本書を読んでお楽しみ下さいませ。でも、梢側についたらあなたはわたしの敵ですよ。ウフフフ)

*1:え?なんで都合良くそんなシステムもってるの、ですって? そりゃもちろん「こんなこともあろうかと!」常に持ち歩いているのですよ