いろいろ

Kindle Paperwhite を買ってから、もうすぐ1クールなので、今の雑感とかいろいろです。


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わたしは、活字中毒の母を持ち、家から徒歩2分の距離に図書館のある環境で育った人間で、本が大好きです。そんな人間ですので、本音を言えば紙の本のほうが断然好みなのですが、わたしが電子書籍を導入する動機は、ひとえに書庫の問題です。

幸いな事に我が家は一戸建てでしたので、奮発して自宅の屋根裏を書庫に改造しております。そうして購入した本をガンガン格納してきたのですが、それもそろそろ満杯です。ヤバい。

というわけで、新しい本の購入や、既に持っている本のリプレースを目的としていたのですが、導入してしばらく立ってみるとだいぶ様相が違ってしまいました。

一つは、新しい本(漫画)の購入ペースが全く落ちていないこと。これは電子版との同時発売がそんなにないということと、既刊を本でそろえてるのに続きから電書に切り替えるのはちょっとなーという「統一あるコレクション萌」的心境、そしてメロンブックスとらのあな での特典目当てだったりとかそんなのが重なって。

既存本のリプレースは、うん、重複購入は結構すすんでますが、紙の本を手放すかというとそんなこともなく。

考えてみれば、新装版がでたら買っちゃって、古い方も取っておくようなあたしが、電子書籍版を買ったからといって紙の装丁を手放せるわけもないのです。あははは、、、、、、はぁ。


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東日本大震災で、先に紹介した屋根裏書庫から、本棚毎本が落っこちてきて以来、ちょっと本の格納方法を替えました。

屋根裏書庫の入り口を開けると、本を満載した本棚が滑り落ちてきたのですよ!?とっさに支えられて(イメージ図)

なんとかなったから良かったものの、一歩間違えたら死んでしまうところでした。(詳しい顛末)

で、新しい格納方法は、単行本が10冊くらいおさまる小さなダンボール箱を買ってきまして、それに漫画をいれて単純に積んでいます。個人的にはこのダンボールを「ブックインゴット」と読んでいまして、ピラミッド状につんで悦に入ったりしています。

さて、このブックインゴット、収納の取り回しという点では、片手でホイホイ持ち上げられるサイズと重さが非常に扱いやすいのですが、読みたい本へのアクセスという点では最悪です。

というわけで、インゴットに固化されてしまった本を手軽に読むために電書版を買ったりしています。これはコレクター魂と閲覧性を両立させるよいバランスではあるのです。

CD 買って iTunesリッピングして、すぐ押入れにしまってしまって、聞くのはリッピングした方というのと全く同じスタイルですね。出て行くお金が界王拳2倍・・というのだけがネックです。Amazon AutoRipの書籍版サービスなんて始まってしまったら、もう紙の本も Amazonでしか買わなくなってしまいますね、きっと。


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小説に限って言えば、電書の抵抗はあんまりないです。不満はリフローのせいで、挿絵直前に挿絵待ちの空白が出来てしまうことくらいかな。シリーズ全巻を持ち歩けるとか、その時読みたい気分の小説を読みたくなったときに読めるのはすごく嬉しいです。

あと、同人小説を公の場で読めるのは嬉しいですね。同人小説は、普通の「薄い本」の装丁の他に、市販の文庫本を真似た装丁もあって、そちらのほうがカモフラージュが容易なので、買うときに個人的には嬉しかったのですが、電書はさらに上を行くカモフラージュっぷり。素敵です。

なので、電書化のメリットとして痛感するのは、ポータビリティの向上による読みやすさの向上かな。

基本的には「文庫」のメリットを推し進めたような存在だと認識していますので、ちょっと安くて、ちょっとお得で、でも発売はちょっと遅れる・・みたいなバランスで提供してくれれば、普通にバランスするかなって思ってます。


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同人誌といえば、コミックマーケットにて、中里一(十)さんが、「もう紙の本は(同人誌で)出さないよ」宣言していて、ちょっとがっかり。紙版紅茶ボタンとか紙版完全人型とか出てないかなって、ダメモトですが期待してたりもあったのです。

「紅茶ボタン」も「完全人型」も(毎日連載を配信するAndroidアプリです)両方購入しておりますが、あたしは横書きで小説よむのは趣味じゃないので、選択肢に縦書き書籍版とあったらそっちが欲しい。

「紅茶ボタン」も「完全人型」も、わたしの心の中では雑誌連載のスクラップブックという位置づけで、またアプリですので「本棚」に収める形ではないのが取扱いにくいと感じます。

なるほど、そういうことを考えるのは、わたしはやっぱり電子書籍が欲しいのじゃなくって、電子本棚(書庫)が欲しいのだな。本棚は憩いの物体、幸せの形です。その本棚が持ち歩けるというのは、人類史上始まって以来のすさまじい改革ですね。(例えば「俺はスレイヤーズ全巻を片時もはなさず携帯してるぜ!」が普通に実行可能な喜びですとか)

本は紙の本のほうが好きだけど、本棚は電子の方が好き。うーんアンビバレンツ。──四次元ポケット、実現しないかなぁ。


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わたしは本屋さんが大好きです。本を買っても買わなくても、本がいっぱい並んでいる姿を眺めるのは、わたしの愉しみです(迷惑な客だ)。

なので、電車の中で Paperwhite で何気なくストアをぶらぶらしたり、「とらドラ」「マリアさま」「小野不由美」「動物のお医者さん」「小川一水」「秘密の階段」「ミミア姫」「スワロウテイル」「ときめきトゥナイト」「野尻抱介」「エビスさんとホテイさん」とか、気になる用語で検索したりとかで楽しんでます(はやくーーでろっ!)。買ってて良かった 3G。でもこれが危ないのですよね。ついつい本を買ってしまうのです。

特に漫画を普通に3Gで落とせると気がついてからがヤバくって、こないだは 森永みるく の 「GIRL FRIENDS」全5巻を電車の中だけで買って、読み終えてしまったり。(百合漫画の名作です!もちろん紙の本で持ってますよ♪)

GIRL FRIENDS : 1 (アクションコミックス)

GIRL FRIENDS : 1 (アクションコミックス)

・・うーん、懐がほんとヤバいなぁ。1/19からはダイの大冒険の電書が発売開始なのですよね。


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ただ、前にも書いたのですが、漫画については画質が酷いものも多いです。濁点とか画数の多い漢字が滲んで読めないとかあり得ません。漫画については解像度を本のスペックとして書いておいてほしいなぁ。

今のところ画質で購入を諦めたのは、「バナナフィッシュ」とか「のだめカンタービレ」。最近では1巻安売り中だった「マギーペール」とか(続刊を揃えるには躊躇する画質でした)。残念じゃー、無念じゃー。

この安心感が無いので、試し読み無しの漫画の購入は怖いです。なんとかしてくれないかしらん。

これも前に書いたのですが、もう一つ怖いのは検閲です。漫画の、特にエロに関しての検閲はちょっと酷くって。しかも、実はこの検閲の基準が発行された時代の空気によって、甘くなったり厳しくなったりする。先入観とステレオタイプ──すなわち差別によって検閲されてるからなのですが、まぁ、それは置いといて。

だから、その線引きの範囲内で(塗りつぶされて台無しにされないような)表現をする・・・なんてスタンスの作品であったとしても、発行された時代がちょっとズレるだけで無残な有様になったりします。

電書の場合、わたしが買ってクラウド書庫に預けた本が、しらない内に検閲で塗りつぶされてしまったり、台詞が改竄されてしまう、ということが考えられるので、そのことを思うと無難な作品しか買えないなぁとも。


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漫画の解像度については、出版社だけの都合じゃないかも、と思います。本の容量によってこれだけを負担してくださいねっ、て Amazon とかの電子本屋さんが要求しているとかあるかもしれないし。

なので、単なる一過性のものじゃなくって、意外に解決が難しいのかも・・・と思うと不安になります。


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Kindle は Paperwhite と Nexus7 の両方で読んでます。ちまたでは漫画は タブレットのほうが読みやすいとか言われているようですが、個人的には漫画本も文字主体の本も、電子ペーパー端末のほうが読みやすいです。まぁ、好みの問題ですよね。

そして、電書の「ポータブル書庫」の面に魅力を感じているだけに、Paperwhite の 容量の少なさはちょっと残念。3Gならいつでも落とせるとはいえ、今の回線速度だとクラウド書庫はちょっと出し入れがめんどいもん。次の電子ペーパー端末に望むのは、書庫の大容量化と、くわえてもう一回りの大画面化(または縦横比を新書にあわせてくれるだけでも嬉しい)と、見開き2画面の端末ですね。

Kindle Comic とか銘打って出してくれたら、端末購入記念に新に50冊は漫画を買うことをお約束いたしましょう。(とかいって、本当にだしたらどうしましょう)


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電子ペーパーは十分よみやすいけれど、Paperwhite で読書してると、紙にくらべてなぁんか、微妙に読みにくいのよね・・と感じます。

でも、コントラストは、まぁ雑誌的なレベルでは十分ですし、解像度もなかなかのはず。なんでそう感じるんでしょ?、、と思ってたのですが、あぁ、そっか、表面の透明なプラスチック層のせいだ、と気がつきました。

あそこにホコリが乗ったり、反射があったりすると、微妙に文字の位置と焦点面がちがっていて、それで疲れるのかも。3D映画をみててつかれるのと似たような原理というか。


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さてさて、ようやく電子書籍元年というべき様相になった2012年ですが、まだまだ電書はラインナップに乏しいです。

わたしの大好きな小説のひとつに、皆川ゆか の「ティーパーティ」シリーズや「運命のタロット」シリーズがあります。講談社は、どうやら絶版にするのが大好きに思われるので、これらが電書で読めるようになるのは当分先かなぁ、と思っていたのですが、あっさり電書化されて嬉しいおどろき。

これは講談社復☆電書 プロジェクトによるものだそうで。

復☆電書:“電子書籍で復刊”プロジェクト|講談社

「絶版にするのが大好き」なんて言ってすみません、講談社さん。

しかし、

書名 著者名 投票数
01 運命のタロット 皆川ゆか(著) 乱魔猫吉(画) 59
02 真・運命のタロット 皆川ゆか(著) 乱魔猫吉(画) 39
03 ビートルズ海賊版事典 松本常男 37
04 ティー・パーティーシリーズ 皆川ゆか 27
05 雪の降らない街 コブクロ 恋愛短編絵本制作委員会 21
06 ドラゴンフライの空 上遠野浩平 17
07 ギニョールアイの城 上遠野浩平 10
08 モーツァルトは子守歌を歌わない 森雅裕 9
09 統計力学入門〜愚問からのアプローチ 高橋康 9
10 SF西遊記 石川英輔 8
第1回 リクエスト結果|復☆電書:“電子書籍で復刊”プロジェクト|講談社

圧倒的ではないか、わが軍皆川ゆか は。マイノリティだと思ってたのに、この皆川ゆか 人気はどうしたものだか。

ティーパーティシリーズや運命のタロットシリーズは、保存用、読書用、布教用を既に取り揃えているので、これで4セット目ですね。

まだそれぞれのシリーズの一巻目しか出ていません。続刊が愉しみです。

ティーパーティシリーズは、オカルトSF百合大河小説の決定版です。もし、「おもしろそうか、試してみよう」と思われたなら、2巻目の すくらんぶるティー・パーティ を試しに読んでみるのがお奨めです。きっとツケモラスの魅力に満足いただけるとおもいます。ケーッケッケッケッ。というわけで、早くでないかな、2巻目。

運命のタロットシリーズは、講談社X文庫の廃刊騒動で、一度無理やり終わらせた後、真運命のタロットとして再開していますので、ストーリを通しで読むなら「≪魔法使い≫にお願い!」からなんですが、エンジンが温まりきって圧倒的に面白いのは「真」の方なのですよね。

今なら両方とも読み進めて、「今(真/≪女教皇≫)」と「その過去」を平行で愉しむのは、とても良い読み方かもしれません。たぶん、アニメ放映順でハルヒを愉しむような、素敵な体験になるかなって思います。(・・・って、それってすっごく羨ましいですな)