あけおめ
明けましておめでとうございます。昨年はほとんど記事を更新しなかったこの blog ですが、今年はもうちょっと頑張ります。というわけで今年もよろしくお願いします。
というわけで、昨年書きそびれたことを 大雑把にまとめつつ、ダイジェスト的なえんとりーなぞを、今年一発目に書いてみたり*1
いつもの つれづれ 形式でお送りします。
去年のお仕事を振り返る
その441(ウォータフォールについて)
実は 昨年一年間、わたしはプログラマじゃありませんでした。
では何をやっていたかというと、DSP の回路設計のお仕事をしていました。だいたい最初の10ヶ月がシミュレーション検証で、最後の2ヶ月が SystemC での実際の回路記述という塩梅。
最初の10ヶ月は、数式やら MATLAB のコードで降りてくる仕様を元に C++ でシミュレーション用のモデルを作成し、いろんなパラメータを試しながらシミュレーションをして 回路仕様を決めていく、という作業でした。
さて、この開発業務ですが、久々のガチガチのウォータフォール開発で、しかも上手く回っていたのです。所変われば、というやつですね。それについて書きたいな、と思ってました。
思うに勝利の鍵は、仕様が日本語での曖昧な記述なんかではなく、数式やMATLAB コードを交えた「きっちりした」ものであることです。上流の仕様自体が MATLAB で検証済みであることが大きいとおもいました。
そして、そこから詳細の仕様を決めるのも、そのためだけに動くモデルを作って仕様が正しいことを検証しています。・・様はウォータフォールの各ステップ毎に正しいことを検証できれば、ウォータフォール開発は素晴しいことよね、と思ったり。
ソフトウェア開発でも「そうであれば」と思っていた環境ですが、想像の産物ではなく、実際の生きた環境としてこれを目に出来たのは驚きでした。やっぱりウォータフォール開発もここまですれば上手く機能するよね、というのが実感です。というよりも、ここまでするのが本当のウォータフォール開発なのでしょう。
一方で、仕様決めだけに莫大な工数が掛かっても許されることと、ソフトウェアと比べそもそもの規模が小さいことで成り立っている環境ではあります。またここまでしても「予想外の事は起こる物」で、ウォータフォールを遡ることが工程管理への重荷としてのしかかり、業界が改善策を模索している現状もあります。
こういうのを見てしまうの、今のソフトウェア開発できちんとしたウォータフォール開発するのはハードル高いというか、無理ゲーなのではないかという思いをよりいっそう強くしました。
あと、機能する/しないは別にして、作り手としてはやっぱりアジャイルの方が楽しいです。久しぶりのガチガチのウォータフォール開発でしたが、凄っごく息苦しかった。以前はここまで苦しく感じなかったのだけどなー。
その442(コーディングの顔をした回路設計について)
最後の2ヶ月は、そうやって決めた仕様を回路として実装していく作業です。SystemC で記述し、Cadence の CtoSilicon Compiler で RTL にコンパイル(高位合成)し、それを RTL Compiler で 合成する、という開発手法でした。
規模にもよりますが Compile 時間がやたら長くなることが珍しくなく(数時間〜数日) 、その開発工程へのインパクトが大きかったり、そもそもライセンスの問題で「待ち」が発生したりとかして、だから机上デバッグとかが重宝されたり、コードの書き方で回路が変わってしまうので生成される RTL をチェックしながら コードの書き方を模索するような感じで(つまり可読性を最優先してコードをかけない)、大昔のリソースがしょぼかったころのファームウェア開発のようでした。
ライセンスがとても高いので、個人の学習用にはとても無理だとかも懐かしい感じでした。
そういうプアな時代のソフトウェア開発との類似点を懐かしく思う一方で、現在の「コーディングする回路設計」が、外から見てたときの思ったほどソフトウェア的な物ではないという苦しみも、書きたかったことです*2
コーディング作業自体は楽しく、連日の残業三昧も苦ではなかったのですが、ただ、書かれるコードが ソフトウェアとして価値観(可読性と抽象化が正義)でみると美しくないのが苦痛でした。
可読性が悪いのでミスも増えます。また、既にコーディング手法として頼りきってしまっていたユニットテストを書けないのもストレスでした。「書けない」というのは工数的にですが、ソフトウェアの場合工数をかけても「急がば回れ」的に効くのに対し、回路記述の場合トータルでも見合わない環境と感じました。
例えば、コーディング初期には「ユニット」が合成した回路の都合で激変するので、テストコードがご破算になりすぎて作り込めません。また、構成が安定したときは回路としてもFixしてしまっているので「継続的な変更」が発生せず、やっぱり工数に見合いません。極論をいえば、ユニットテストが書きやすいコード=良いコードという価値観が、成り立たなかった印象です。
そんなこんなで、改めて言うことではないとは思いますが、やってみると、ソースコードの顔をしていても、想像していた以上にまったくの別物だった、と言うのが実感です。
去年の成長を振り返る
その443(学生的なスキルのカムバックについて)
毎年なにか新しいことに挑戦して、去年の自分よりも成長したい。わたし、もっと前にでたい。スキルアップの記録を blog に書くことは、自分への励みになります。
というわけで、去年一年でどれだけ前に出れたかを振り返ってみます。
去年得られたスキルとしては、まずは数学ですね。複素数だらけのジャンルで、仕様が数式で降りてきたりするので、まずは高校の復習からスタートでした。いやー、忘れまくっておりました。
でも学校で一度学んでいるからこそなんとかなったわけで、「社会人になったら数学なんて使わないじゃん」という数学嫌いだった高校生のわたしに、この現状(惨状?)を見せてやりたい。また「学校の勉強」じゃないと結構楽しいんだよ、という話もしてあげたいなーって。この点は満足。
また、関数電卓を使うようになったのも、去年やった新しいことですね。学生のころは使ってたのですが、プログラマになってからは目の前にゴツい計算機があるのでほとんど使わなくなりました。しかし今年は久方ぶりに関数電卓をバリバリにつかう生活で、専用のインターフェイスを持っていて、モバイルで、手軽に使えるというのは、想像以上に便利なんですよね(^^;
で、ちょっとしたマイブームになって、最終的には関数電卓の本を買っちゃったりとか。
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その444(まるで成長していない)
と、ここら辺は、それなりにちょくちょく記事を書いたとおもうのですが、あまり芳しくない方面には口をつぐんでしまったわけで。
プログラミングに目を向けると、去年一年は本当に何の進捗がありませんでした...orz
年の始めの方は OCaml とかでちまちま遊びつつ、もっと関数型言語にネイティブになりたい的なことを休日プログラミングしてたのですが、年の後半に入ると、そんな心の余裕が全然なくなりまして、結果、進捗駄目です的な。まるで成長していない...orz
仕事でやってなくてもプライベートでも何とかなるかなとか思ったのですが、四六時中コードを書く生活があって初めて、プライベートでもコードを書くタイプの人間みたいです、わたし。(だめじゃん)
もうひとつ、昨年経験した「初めて」は、 回路の設計や SystemC そのものについて。まったくのゼロからでしたので、何もかもが収穫で、何もかもが学ぶべき事でした。私は仕事の「初めて」運に恵まれていると常々思っていましたが、今回はその最たる物ですね(なんたって、ソフトウェアですらないのですから...)。
でも、いつもの「初めて」と異なり、今回はあんまり嬉しく感じませんでした。これは正直意外です。どことなく「朱に交わる」のが嫌で、ブレーキをかけているような部分が、心の片隅にあったような気がします。
残念なのは、そうして得た「初めて」の機会でありながら、結局スキルとしても素人の域をでなかったこと。去年の今頃のわたしと比べ出来るようになったことは大きいのですが、それでも 誰か凄い人が整えた環境で、誰が凄い人が敷いたレールにそって開発すること止まりです。「凄い人」が居ないと開発が成り立たない──技術的に自分だけで開発できる能力をもたない状態でのお仕事は新人だけに許されることだし、だから技術者として情けない技術しか身についていないな、と。
実際に新人でしたのでそれは仕方がない事なのですが、その情けなさを払拭しようという気概が今一歩沸かず、技術力向上のモチベーションにできてない自分を発見ししてしまって、駄目人間だなぁという実感を強くした一年でもありました。
そんな感じで、愚痴や鬱ネタにしかならずに、全然記事を書けませんでした。
その445(安斎先生..)
去年全体をみわたすと、列挙すればいろいろ得られたことがあるのに、実感として充実感がない、停滞してると感じる、焦燥感でいっぱいの一年でした。
進んでいる感じがしなかったのは、多分、回路設計というのが私の心にとって「前」じゃなかったからかな、と思います。去年中はこの「まるで成長していない」という実感をどうすれば拭えるのかといろいろ悩みましたが、結局吹っ切れずじまいで、最終的に「プログラミングの仕事に戻ろう」と、決心するに至りました。
平たく言えば、「安斎先生、プログラミングがしたいです」という一年でした。
去年の blog更新 を振り返る
その446(自らの老害化について)
あんまり更新がなくって、修羅場!? と心配されたりもしたのですが、時間的な問題はそれほどではなく、主に気持ちの問題でした。実際、いろいろ書きはしたのですが、書き上げたものの放つ腐臭に耐えられずにほとんど没にしていました。
なんか、やっぱり落ち込んでいたりして心のバランスを崩していた面があったのかな?例えば、コメントでの談義は楽しいものであったハズなのに、去年はなぜかそれが酷く鬱陶しく感じたり。「コメントがついたら嫌だなー」とか思いつつ blog 記事を書いている自分が居て、それにハッと気付いたり。反応を得たくないけど喋りたい──それって愚痴っていわなかかったっけ?
こういう状態を拗らせながらも 発言を止めないと老害になるのかな?と思って、自分の書いたものが堪らなく嫌に感じました。
楽しいこと、良いこと、凄いな、と思うことを書きたい。なのに、悪いこと、ささいな欠点、なにかを順位付けする行為ばかりをしてしまう。やだやだ。そう思ってからは、ちょっとblogを休もうと思ったり。
でも、そういうのは置いといて、プログラミングしてないからネタが無かったというのも実状ですね(笑)。新しいことしてないので、ぜんぜん新しいことが書けませんでした。
というわけで、反省することの多い一年でした。ホント失礼ばかりでごめんなさい
去年のおたく趣味を振り返る
その447(聖地巡礼について)
去年は聖地巡礼の年でしたなぁ。旅行が趣味でオタクで羽川さんみたいに何でも知っているタイプの友達がいるのですが、今年は二回も旅行に連れて入ってもらいました。
えぇ、プランニングも宿の予約も、当日の運転もおんぶに抱っこで、運転中もバスのガイドが如く流れるように解説してくれるという至れり尽くせり(しかもオタク仕様)。なんだかやみつきです。
大洗(ガルパン)、飛騨高山(氷菓)、城端(true tears) となかなかの充実。台風の影響で白川郷(ひなげし)に立ち寄れなかったのは残念です。いつかリベンジ。
大洗はいろいろネタに出来たのですが、その他は記事にできませんでしたね。聖地ではないですが、途中によった松本城も楽しかったです。写欲を誘う街並みで、是非写真を取るためだけに一日徘徊したいですね。
その448(活字依存症の重症化について)
オタク趣味・・かどうか微妙ですが、去年は本当に本を読みました。Kindle の導入のせいで、漫画を除いて400冊ちょいを購入し、たぶん8割くらいは読了しました。紙の本も買って読んでいるので、均せば一日一冊ペースになるかな? 通勤時間がドアtoドアで2時間あって、その間がほぼ読書タイムに化けた感じ。
iPod 登場時に感じた「全部を持ち歩く」の 本版で、そのときの気分(疲れてるとか)によって、読みたい物って変わるのですけれど「持ちあるいている本が気分に合わなければ読まない」だったののがかったのが「気分に会う本を選ぶ」に変わったせいで、より本を読むようになりました。
それで、ハヤカワJA あたりは、紙版と電書版の両方を買って、結局電書版だけを読んだとかしていて、けっこう勿体ないお金の使い方をしています。
ここら辺はちょくちょく書いていたお話ですね。ブックレビューはもっと書きたかったのです。
その449(就業後にはアニメ映画を)
アニメ映画は非常によく見にいきました。だいたいは会社帰りに見る感じで、レイトショー万々歳ですね。年後半残業三昧になっても、なんとか調整して見に行ったりとか。見ちゃうと帰宅が午前ぎりぎり様になったりなので、次の日の業務を考えると厳しいのに「命の洗濯」だから、と自分に言い訳しながら見てました。
でも、映画レビューはあまりかけませんでした。なので、ここで簡単に
- あの花
- ずるい映画ですなー。
- ゆきあつの相変わらずの酷い扱いに涙
- 再編集映画なのに一見さんお断りすぎて、でも面白いとか。
- まどマギ
- 愛を呪いとして描くあたりとか凄く良かった
- さやか を ほむら の対称に置く構成が上手い
- まどか の愛が アガペー だったので、ほむらは..という構成も綺麗にハマっていて良かった
- 禍々しいものを演出(音楽)の力で美しく魅せるあたりが素敵
- 「ずっとそばにいる」という幸せを ほむら から奪うこと以上の不幸がわたしには思いつかない
- よって「続編はもっと不幸にする」(代償のない幸福は認めない)というノルマがあるので、続編はもうない、というのが私の読みですが、はてさて。
- 綺麗なシンメトリがつくられちゃってるので、この映画はよいピースだな、と思います。
- 愛を呪いとして描くあたりとか凄く良かった
- ベヨネッタ
- 三角木馬にはさすがに絶句しました
- チビネッタが萌えすぎるという話もあります
- しかし若本だでぃ はなんというか、夢に出ます
- 蛇足ですが、コメディ映画です
- さかさまのパテマ
- すごく80年代。ハマります。
- が、設定や背景に対して 2時間は短すぎたと感じます
- 「星を継ぐ者」的、設定のオチが設けられていて、もうすこし上手くこれを魅せられなかったのか、という思いはあります
- ワンクールのアニメで見たかったかも
- 2時間で消費してしまうのは あまりにもったいない、という印象です
- パテマが可愛すぎるというのは、大事な事です。
- パテマが可愛すぎます(二度言います)
去年の写真趣味を振り返る。
その451(E-P5 買ったよ)
実はカメラを買ってしまっています。オリンパス Pen E-P5 をお迎えしました。久々の大散財です。E-PL3 を買ってから2年しかたっていないので、正直無駄遣いなのですが、それでも外出時には必ずと言っていいほど持ちある居ていたので、けっこうな撮影枚数です。(...でも写真を全然upしてないんですよね..)
基本、良いカメラなのです。
が、PENっぽくないところが不満があります。一眼レフ的使い勝手を盛り込んだのが今回のPENの特徴ですが、PEN的に大事なものが若干損なわれているとおもいます。
価値観が OM-D と同じになってしまっていて、その土俵では 絶対に OM-D のほうが「良いカメラ」になります。そうじゃない土俵にあるのが PEN なので。
- 一眼レフ的威圧感の無いカメラという位置づけを考えると、外付けビューファインダーのサイズはもう少し抑えるべきでした
- E-M1 を見るまでは「この見映えならしかたないか」と思ったですが、あちらを見てしまうと「もう少し小さくなるのでは」と比べてしまいます
- ペンユーザーにとって Wi-Fi対応よりも、交換式グリップのほうが「ペンにとって大事な事」だったのじゃないかなって思います
- ボタンを増やすためにバックグリップの形状を変えたせいで、親指付け根のグリップがなくなりました。握り心地が悪くなったせいで体感的により重く感じます。
- 背面ラバーサムグリップは、握れるフロントグリップありきのものなので、PENにとってはそれほど良いものではないです
- にも関わらすボタン数が少ないです。フラッシュのOPENボタンの位置とか、ボディ前面とかに Fnボタン を設けて欲しかったり
- 内蔵ストロボを省いて上面に素敵にデザインされたFnボタンを置いたり、モードダイヤルを左に移して 右手側にボタンを増やすのも案も魅力的ですね
- 白が似合わないボディデザインは なによりペン的でないという証左のように感じます
- 逆に黒がよく似合います。つまり、ちょっと男性的になったのですよね
とはいえ、基本的に愛用しているわけなので。
前後のダイヤルのクリック感は素晴しいし、シャキシャキしたレスポンスは写欲を誘います。操作感がよい、とても使いやすいカメラです。
あと、最後の「男性的っぽい黒」はニコン党のわたしにはツボで、個人的には欠点じゃなかったり。
その452(DIY 一眼レフは楽しいよ)
一方、フィルムでの写真は1本しか撮りませんでした。しかもロモグラフィーの 組立式一眼レフ Konstruktor でとったものだったり。フィルムカメラは死蔵状態ですね...orz
この Konstruktor は、プラモデルカメラとしては初めての一眼レフで、かなりたくみな設計をしてあるので、技術者てきには萌えるガジェットになってます。興味のある方は是非つくってみてください。この紹介記事は本当に書きたかったのですが*3、なかなか暇と気力の融通がきかなくって...。
その453(デュアルピクセルCMOS が凄い)
それにしても、昨年のカメラシーンはいろいろ面白いものが多かったのです。話のネタとしては本当に豊富な一年でした。
なかでもキヤノンの EOS-70D のデュアルピクセルCMOS AF はちょっとビックリしました。こんなの作ってたから最近のキヤノンの開発ペースが落ちてるようにみえてたのかー、と納得です。
正直 像面位相差AF 方式としては今のところそれほど優位性のある技術では無いと思います。この技術のすごいのはAFの面じゃなくって、すべての画素に対して位相情報が得られるということだと思います。その情報を生かせる ASIC さえ開発できれば、いろいろなデジタル補正を掛けられる「一世代違う」技術になるでしょう。究極的には後からピント位置を変えられるようになるかも、と期待しています。
ただ、今年は実務が DSP開発だったので、その計算量からくる回路規模を考えると他人事ながらすっごい大変そうだなぁとも思いました。複素乗算はボディブローのようにドスンと効くのですよ(T△T
今年の抱負
と、なんだか非常にごった煮なエントリーになりました。全然新年のご挨拶という感じじゃないですね。最後に新年らしいことを書いておしまいにしましょう。
去年の収穫として一番大きいのは、自分が自分で思っている以上にプログラミングが好きだったんだなぁ、という実感を得られたことでした。
というわけで今年の抱負ですが、プログラマに戻ります。絶対。
お仕事さがさないとー。どっかいいとこ ないかなー。