君が僕を2 -私のどこが好き?

百合です。相変わらずの圧倒的な文章力で読者を翻弄する中里十さんですが、今回は「どうしちゃったの?」とも思ってしまった。

君が僕を 2 (ガガガ文庫)

君が僕を 2 (ガガガ文庫)

中里十さんの小説は、いつもとてもレビューが難しくって、何故かというと、どこが面白いのかを自分でも説明できない。というかなんの話なのかも説明するのが難しい。なのに、確かに面白い感じている(思っている・・だと、違うニュアンスになっちゃうんですよね)自分がいて、繰り返し繰り返し読んでしまうと。

多分言葉には魔力があって、「言葉で物語を記述して、その物語が心を動かす」という正攻法の他に、直接わたしの脳に言葉で魔法をかけて、直接心を動かしてしまう、そんな風に感じるというか。(「空前絶後」のような魔術を想像してくだせい。「言語野の中里」みたいな)


けれど、今回は説明が出来てしまう。その説明が出来てしまうこと自体が罠(というか魔術的トラップ)でないかと疑ってしまう。

とにかく、とても面白かった反面、中里さんがこんな話を作るなんて、と言うこと自体が恐ろしい。

P.S.
こう書くと、まるで普通のお話のだったように見えてしまうけれど、いえいえ。良くこんな話を作れる(思いつける)モノだという凄みがある、相変わらずの中里式です。読み進めても読み進めても、全然先の予想が付かない。

ねぇ、「私のどこが好き?」と聞かれたら、あなただったらどうします?