東京都の青少年健全育成条例改正案が何をもたらすか
恋愛も、性も暴力も人間の本質ですが、この条例は「一般誌」からそれらをそぎ落とさなければならなくなります。「子供向け」ではなく「一般誌」からです。
そしてご存知のとおり、成年マークのついている本は、一般向けではなく「おかず向け」です。では普通にセックスも仕事も友情も喧嘩も家族愛もあふれる日常はどこで表現すればいいのでしょうか。
(子供向けでない)一般向けの表現はこうしてどんどん そぎおとされていき、そのうちそれがタブーなのが「普通だ」と感じるようになっていきます*1。描く人間はみんなしっているから、「成年向け」や過激な性表現を描かない、「一般人」の感覚では影響なさそうな作家さんも(羽海野チカ先生とか)反対するのです。
わたしの言うことは大げさに聞こえるかもしれません。なので一つ実例をあげましょう。
イブニングに掲載された吉田基已先生の「恋風」は、もう一般誌では読むことができません。ヤングジャンプに山花典之先生の「妹-あかね-」もおそらく連載できないでしょう。
そしてあのような作品は「ゾーニングの向こう側」に置かれるのではなく、向こう側にもこちら側にも、何処のゾーンの雑誌であろうと、もう二度と書かれることも読むこともできない公算が高いです。
なぜならあれらは、兄妹間の恋愛を描きますが、決して「おかず本」向けの内容でもないからです。
ゾーニングの強制が招くのは、青少年向けではなく、一般向けの本からの表現の封殺です。あなたはイブニングを「成年コーナー」に買いにいけますか?多くの人がいけないのなら、イブニングから表現の幅が消える話になるのです。
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*1:そもそもわたしは 「ヤング誌 がエロいのがのっているのがおかしい」という感覚をみんながもってしまっている現状は異常だと思っています