戦う司書と絶望の魔王

戦う司書シリーズは、感情移入が激しくなる「のめり込む」小説なのですが、こんなにも ルルタに移入してしまうことになるとは前巻までには思っても見ないことでした。

戦う司書と絶望の魔王 (スーパーダッシュ文庫)

あまりに惨い話に、いったい誰にこの怒りをぶつければいいのか、気持ちの落ち着かせどころにとても困ってしまうくらい起こってしまったのですが、当のルルタが全くそうではないところに、また惨さを噛みしめてしまう。「恋する爆弾」と双子になる物語に、恋する爆弾と同じような迫力をもって、しかし幸せではなく不幸を叩き付ける本作ですが、だからこそルルタの物語の幸せな決着を切望してしまうのです。（ラストの展開に「彼なら」と希望を抱かせますし、ね。）だけれども、ソコにまがまがしい陰を落とす、前巻まではあれだけ頼りがいのあったハミュッツの、今巻での不気味なことを。（彼女の本来はそういうものだったと思い出させます）

読者たるわたしの立ち位置すら危うくなるゾクゾクした面白さに、やっぱり山形さんは凄いよ！と思います。ていうか、続きが待ちきれません。