地球保護区

回帰祭と同じ世界観のお話です。

地球保護区 (ハヤカワ文庫JA)

地球保護区 (ハヤカワ文庫JA)

人類が地球をとことん破壊しつくして、逃げ出すように外宇宙に飛び出していって、ようやく再び人が住めるようになった時代。けれど、同じ過ちを繰り返さぬ様、地球に人は戻らない・・という決定を人類は下したのですが、それでも地球に降りて行ってしまった人がいる、、というSF的にはよくある背景ですが、キャラクタ付けや小林めぐみ的な前向きで、それなのにどこか厭世的な匂いのする世界描写とあいまって、すっごく面白い小説に仕上がっています。

回帰祭とちがい、エピローグの抜けの悪さもまったくなく、読後もとても気持ちよいのがGoodです。文句なしにお奨めです。

ところで・・・なかなか重くシリアスな展開をする本作終盤ですが、でもその実その結末は冷静に考えればほとんどコメディで、というのも天才博士がドラえもんが鼠を殺すのに地球破壊爆弾を出しちゃうような超天然さんなのに、それがもたらす影響をみんなでシリアスに(人死をだしながら)進んでいくあたりが、この呆れるまでのどうしようもなさが、おとぼけのほほんブラックの小林めぐみさんらしいな、と思いました。