頼子のために
- 作者: 法月綸太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1993/05/06
- メディア: 文庫
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この小説に興味を持ったきっかけは、私の大好きな小説「運命のタロット」からです。真・運命のタロット5巻「《悪魔》でも恋に生きる」の中で、《審判》が《魔法使い》に告げる曲の名前が「頼子のために」。
「聞いてみるかね?」と相手の意向をうかがってきた。もっとも、肚の中には含むものを持っている。
「そのほうの協力者を表すにふさわしい曲だ」
《審判》の顔には揶揄するようなニヤニヤ笑いが、薄く浮かんだ。「水のように清らかな調べであるが、その旋律は、低く低く、水の理によって流れていく」
そなたならよくわかるであろう、と《審判》はいい、白い歯をのぞかせた。
なにやら曰くありげな感じです。法月綸太郎さんの著書にずばり「頼子のために」と言う本があると知ったとき、単に名前だけということは皆川ゆか先生にとってあるわけはなく、これでは読まずに居られるわけがありません。
さて、さて、頼子のためにですが、第一部は娘を殺された父親の手記、残り四部が名探偵による事件真相への道のりでした。
ある日突然娘「頼子」を殺人により奪われた父親は、その娘が妊娠していたことを知ります。)うわぁ…コレかぁ、、と思いました。)。警察はなぜか通り魔事件として処理しようとする。父親は娘を妊娠させた人物こそ犯人であると、調査を始めた、、というのがこの話の始まり。
あとはネタバレになってしまうので具体的には書かないのですが、ミステリーらしくページを捲れば捲るほどドロドロしてきます。しかし、最後の最後、綸太郎が西村海絵に事の顛末を語るシーン。最後のたった2ページ半こそが、真に戦慄を覚えるのです。全てのページを読み終えたとき、私は綸太郎とおなじく、さむけを覚えました。
運タロに、ここぞとばかり印象的に、この名前の曲名が登場したのには、なるほどと、思う以外に他はないのでした。