嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん

うーん、この小説は感想が書けないと思ってしまった。

結構何度も読み返してしまっているのだけれど、何がいいとか何処がいいとか、論理が組み立てられない。共感を感じなくも無いと思いつつ正体不明の違和感を感じるから、それが気になってまた読んでしまう。なんでしょ、これ。

伏線の貼り方とか、微妙な表現の言い回しだとか、全体の構成・見せ方は素晴らしく、非常に面白く作られている話だし、実際すごく面白いです。この本の主人公とヒロインは過去の悲惨な事件により壊れてしまっていて、この本のテーマはまさにそこにあります。ヒロインの壊れ方はストレートだけれど、主人公のきっちり壊れてしまっていて、感情移入するべき主人公がこれでよいのかとも思いますけれど。

なかなか病んだ話は私の好みなのだけれど、この本のなかの狂気に私とても違和感を覚えます。新井素子の書く狂気とか、そういうのに無意識に比べてしまっているのか、それとも私の中の狂気に重ねてしまってなのか。狂気に違和感を感じるって言っても おままごと狂気で興ざめって意味ではなくってちゃんと狂っている風に感じるのだから(また凄い表現です^^;)本当になんででしょう。

みーくんをヒーローとして見れる視点(池田兄妹視点とか)で見ればすっきりくるのかな?いやこないなぁ。


ひとつだけ、レビューっぽく書けることが。うーんと唸るのは × の使い方でしょうか。なぜその単語が×になるか、その種明かしをされるまでぜんぜん気にとめて居なかったのだけれど。


これがデビュー作だというのだから、入間人間さんは面白いかもしれない。

追伸:
この小説はカバー裏もいいです。見ないと損します。このパッケージングのうまさ、本としてのうまさは何なんでしょう。