死なない生徒殺人事件
わたしは、「アスキー・メディアワークス文庫」というレーベルがいまいちなんなのかよく分かっていなくって、ラノベユーザの卒業後進路を想定しているふうなのは分かるのですが、そこがどんな地点なのかがわからないというか。そんなわけで買ってみました。
死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死 (メディアワークス文庫)
- 作者: 野崎まど
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2010/10/23
- メディア: 文庫
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不死の生徒が殺人された・・・彼女は死後「生き返った」がその生き返り方(ネタバレ回避)ゆえ、前後の記憶が定かではない。・・彼女の不死の秘密は何か、誰になぜ殺されたのか──という、いかにも謎が謎を呼びそうでありながら、謎解きに期待すると、そこは浅いのです。
だって話が狭くって。最終的に描写されるキャラは3名に帰結するというか、そんな感じなので、これ以上内容に踏み込めば、犯人バレを回避することすら難しい。
不死の少女「識別組子」の独特のしゃべり口や、文体の持つ雰囲気、「四角形と五角形の中間の図形」など引き込まれる演出に、面白みを感じるのですが、それだけに、終盤の犯行についての種明かし、犯人と動機はともかく、それに至ったことへの「理解のできなさを期待する描写」は、正直「あぁ、詰まらない着地点でおわってしまった。もったいない」と思ったのです。
が、そう思った矢先の、最後の最後で開かされる落ちがなんとも秀逸でした。そう、底こそが罠。うみゅ、なるほど、そうきたか。やるなー。
* * *
振り返れば、これは推理や「不死」への秘密追求を主題としていない。じゃあ何だったのかな?と、思うのだけれど、難しいよね。タイトルからストレートな作品と思って手に取ったのに、予想外にもちょっと捻った作風で、気付けばメディアワークス文庫のニッチがどこか、さらにわからなくなってしまった わたしでした。
さー、次は何読もうかな。