GOTHICMADE と ねらわれた学園 を観てきました

今月アニメ映画が目白押しで消化が大変です。まずは結論。

  • ねらわれた学園 は凄く面白かった!絶対観るべし級です! (おもしろさ等級は「ときかけ」並です)
  • GOTHICMADE は (「解」読 が好きなマゾよく調教された) F.S.S.ファンなら絶対観るべし、そうでなければ無ければ観ない方がいい

です。

GOTHICMADE

FSSのコミック一巻分がまるまる動く・・・というのが本作の正しい解説だと思います。

映画のスクリーンがコマ割り(構図じゃなくって)にしか見えなかったり、エンディングがまんまコミックの先頭カラーページのようだったり。「まんが映画とはこう言うものかっ!」by ギンガナム な感動が味わえました。

観ていてうれしくなれるポイントはコミックでは想像するしか無い動きや音を実際に見れることと、ちりばめられた伏線や設定を目を皿にして拾い上げること。

「コミックのこういう表現は、永野護の脳内ではこういう映像だったんだ」「あの書き文字はこういう音だったんだ(GTM起動音 でIHIジェットサービスのクレジットが流れたときは、おぉっ!と感動です)」と言う感動は、なぜだかお台場ガンダムを見たときの感覚のようでした。

F.S.S. の設定厨 的な「解読」の楽しさも格別で、パンフレットみた瞬間「ドナウ帝国の服装ってこれ・・・」と思ったり。若干 F.S.S. より親切で、けっこう答えを教えてくれるのですが、それでもこの醍醐味は F.S.S.ファンなら楽しくってたまらない物があります。

一方の弱点は、ロボットアニメとしても物語としてもぜんぜんカタルシスが無いところ。(^^;

ロボットアクションですが、いろんなレビューで既出ですが、ウォーキャスター(騎士だと思いねぇ)の動きってこうなんだ、とか、GTM(モーターヘッドとかマシンメサイアだと思いねぇ)ってこう動くんだ・・・を忠実に再現しすぎたため、常人の目には動いているGTMは早すぎて観ることが出来ず、結果、インパクトの瞬間しかスクリーンには映りません...orz

――きっとこのフィルムは騎士かファティマ向けに作られているに違いないです。


物語のほうも、歴史の一葉としてパズルが嵌まるの昂揚(F.S.S.のおもしろさってコレ!)はあるのだけれど、この映画一葉の中だけで感動できるかというと、微妙というか、ちょっと無理。ですので、さらっと出てくる台詞やマークなどに「ピクピク」っと鼻が動いちゃうファンなら1時間 飽きずに楽しめますが、そうでないと、単調に感じる映画かもしれません。

というわけで、わたしも友人も大変楽しい映画で満足でしたが、すごく間口の狭い映画だと思います。あと、映画を見終わると F.S.S. を全部読みたくなるので、コミックスの準備もお忘れ無く。(Kindle にリブートが無いのが残念 / わたしは旧コミックスでそろえているのですよね / あったら全巻買ってたと思います..あぶないあぶない)


* * *


永野夫妻のいちゃいちゃフィルムともとらえられるかもしれないけれど。ある意味、川村万梨阿さんを中心にまわってました。一緒にみた友人談「同窓会のようなキャスト」。

ねらわれた学園

これは素晴らしい映画でした。GTM は観る人を選びますが、これは誰でも楽しめる映画です。

あまり適切な比較ではないですが、「時をかける少女」が面白かったと人は絶対観るべきです。・・・って、当時 時かけがアンテナに引っかかった人なら言われなくても観るですね^^;。(注:細野作品が好きな人には・・じゃなく、あくまで「時かけ」です)

難点をあげれば、SF/設定面でしょうしょう観客を置いてけぼり気味かな?超能力の範囲(何が出来て、なにが出来ないのか)が今一歩よくわかりませんでした・・な面があったくらい。

他はなにもかも素晴らしい出来。キャラも、物語も、動きもすべて。アニメとして美しく、お話も面白く、キャラクターにとても感情移入できてしまう。なんて美しくも恐ろしいロボットアニメーションかしら。あぁ、あと何回観に行こうかしらん。


個人的にもっとも「凄ぇ」と思ったのが、ケータイ電話の扱いかた。映画の主キー、テレパシーとの対比の関係上、当然話の「ケータイ」もキーに組み込まれてしまうのですが、その扱いが「ステレオタイプ」に嵌まることなく終始扱われるのは、見事でした。

そこに「大人のステレオタイプな見方」的な嫌な臭いをさせるでもなく*1、その逆の捨て尾タイプを感じさせるでもないバランス。

そしてテレパシーそのものの扱いも、ケータイに拘りすぎることも、流しすぎることも、テレパシーをケータイのメタファとして矮小化させるでもなく、そのものとして描けてしまう。・・結論のための丸めをせずにそのままを、主題として書けてしまうすごさ。

ゾクゾクしました。ケータイやテレパシーを扱いつつ、コミュニケーションというものについて、ケータイやテレパシーに引きずられることなく、間違った抽象化に嵌まることも無く、そのまま書けてしまうということ。

未だにケータイをもってないあたしは、ケータイついてニュートラルでいられない。一方ネトゲ大好きな私は、ネットを介したコミュニケーションにニュートラルでいられない。矛盾してるんです。

そんなわたしでも、わたしのままでこの映画を心の中に包含できてしまう。なんというか、天才か?という気持ちでいっぱいです。


言いたい感想はいっぱいあるのですが、ネタバレしつつ語りたい気持ちが押さえきれないのでこれくらいで。(時期をみてネタバレレビュー書いてやるぅ)

(あるシーンで、「宇宙人」が足りないなぁと思ってしまったのは秘密です!)

絶対、みんな観てくださいね。

* * *

そうそう、不安要素だったAKBごり押し疑惑 ですが、演技のほうは本当に上手で、キャラクターとの違和感も全くなく、そこに不安を持っている人は安心して全然大丈夫です。わたしも「偏見はよくなかったなー」と反省。

supercell から主題歌を奪っちゃった件ですが、これは個人的には頂けないかな―、と思うけれど(ED で サヨナラの橋が流れるよりは 銀色飛行船のほうが、映画の人称的に合うと思う)、それもそれなり。

*1:細野さんのサマーウォーズとかおおかみ子供では、わたしはこの臭いが苦手でした