つれづれ
その404 (enchantMOON 延期のお話)
中国と製造に関わっていると、似たようなお話は本当に あちらそこらで聞きますので、新発見のように書かれたり「アップルってすごいね」と言われると、ちょっと大きすぎて引くのですが、けれども自分が当事者だったらと思うとやっぱり胃に穴が空くと思いますし、たとえよくある話でも「よくある話だよねー」で流してくれないのがお客さまだから、本当に大変だと思います。
さて、はてブを読んでいると、意外にも「へぇ〜」的コメントが並んでいて、濃ゆいはてな村の住民でこれであれば、普通の人たちは言わずもがなですね。製造業の縁の下のちから強さの認知されなさぶりは、不憫です。
清水さんの エントリーを面白く感じた方にはこちらの本をおすすめします。
- 作者: 安原伸,エイ出版社編集部
- 出版社/メーカー: エイ出版社
- 発売日: 2008/01/10
- メディア: 文庫
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安原製作所は個人により立ち上げられたカメラメーカーで、「安原1号」「秋月」という2台のカメラをリリースしています。結局、この2号機の発売の度重なる延期が致命傷になって会社を畳んじゃう・・という悲しい結末にたどり着いちゃうんですけどね。
もちろん、20世紀末の中国事情と今の中国事情はだいぶ違うとは思いますが、今回の清水さんのエントリーによく似ているなぁと思いました。面白い本なのでお勧めです。
さて、今回この記事を書こうと思って「安原製作所回顧録」で検索したら、清水さんも読んでらっしゃるのですね。
全て終わったあたりで 「enchantMOON回顧録」とか出していただけたら、面白そうだな、と思います。期待しています。
その405 (ハル と 言の葉の庭)
アニメ映画は極力見に行くようにしていますが、どうしてもお仕事の関係で見逃してしまうことが多いのですよね。今週はちょっと余裕が出来たので、お仕事帰りにハルを見に行ったのですが、見終わってすぐ移動すれば言の葉の庭も見れるという感じだったので、二本連続で見てしまいました。
まずハルですが・・・。これはどんな感想を書いてもネタバレになるというか、その驚きの展開が肝の映画ですので、なにも書けません。強いて言えば くるみ が全力で可愛かったこと!(これはマジで)と、意外にSFな風景がチラッチラッと挟まっていて、そこが予想外に GOOD でした。Q01 かわいいよ Q01。
言の葉の庭は、正直前作「星を追う子供」が大変つまらなかったので、どうしようかな、と思っていたところがあったのですが、予告編やキービジュアルが大変に魅力的なことがあって、やっぱり見ておこうと。
で、どうだったかというと、まさにキービジュアルから期待する通りの内容でした。
本当に「雨の公園の休憩所で思春期の少年が大人の女性の足のサイズを図っている」という絵の美しさをそのまま動画にした感じで、映像と雰囲気を愉しむという目的では100点満点。オートリピートでずっと流しておきたいくらい。逆に言えばキービジュアルだけしかない感じです。キービジュアルは映画のピースのたった一つ・・・というわけではなく、それが全てという映画です。
一方で、脚本、演出は、及第点かなぁ、と思います。
残念なのは、感情移入させてくれない演出の下手さ。離れて愛でるのが相応しいシチュの時は良いのですが、どっぷりと感情移入したいシチュのときは、かなり残念に思えます。そして本編後半は感情移入すべき流れですので、なのに一歩引かせてしまう演出力のなさは正直イマイチと感じました。
もっともイケてなかったのは、とても穏やかに幸せを共有する時間に対して「幸せ」とモノローグをハモらせる部分。映像だけで十分に伝わっているのに、そこをわざわざ言葉にしてしまうことでかえって台無しに。
その後の少年がはじめて感情を爆発させる部分も唐突で、頭で「ああ、こういう風に繋がって、こういう背景で言わせたのだな」と理解できても、感情がそれをトレースできない。それに彼女が答える部分も、同じで、結果あんまり心を震わせない(=一緒に泣けない)。テーマソングもオーバーラップさせ、感情移入させたい、という意図も見えるのですが、無理でおじゃるよ。ここらへんは多分、「間」が悪いせいかしら。
これは 新海誠の荒削りなところというか、悪く言えば素人臭いところなのですが、難しいのは、そういうところも含めて作家性なのだよね、と思えてしまうところ。「欠点も含めて作家性」は、漫画家では当たり前ですが、アニメ作家では珍しいことです。応援したいなぁ。
というわけでまとめ: いろいろ書いたのですが、でも次も新海さんの作品を見に行こうと思える出来でした。Blu-ray を買ってしまうかは、今は欲しいという気はまったくないのですが、時間を置くと「あぁ、また見たい」といかにも思ってしまいそうな映像で、掛け値なしに美しいアニメーションでした。
蛇足: 重箱の隅ついでに、BGM(の音声レベルの調整)もあと少しと言った感じ。ピアノ音が本来の意図とは違って「煩くて不快」になるシチュがちょこっとありました。ここはそこだけが玉に瑕になってしまうカットだったので、目立ってしまって、非常に勿体無いと思う点でもありました。
その406 (ヤマノススメのBlu-ray を買ってます)
随分前の話なのですが、ヤマノススメのBlu-ray を買ってます。
- 出版社/メーカー: アース・スターエンターテイメント
- 発売日: 2013/05/24
- メディア: Blu-ray
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短尺アニメを買うのはファイアボール チャーミング以来です。
尺がとても短いのに窮屈な感じがしなくって、むしろこの一話のサイズが調度良いと感じてしまうのは、やっぱりアニメーターとしての実力なのかしらん。素晴らしいの一言です。エンドレスで流しながら見ています。
遅ればせながら原作コミック1巻も読んだのですが、しろさん の初めての漫画ということもあってか、いまいち面白くありません(ごめんなさい)。でもアニメはその原作にホント忠実で、それでいて面白のだから、やっぱり脚本や演出の力なんでしょうね。もちろん原作コミックも本質的には面白いのは疑いようがないのですが、それを引き出すテクニックの差というか。まさに技術の勝利ですね!
わたしのイチオシです。
その407 (AURA はひどかった)
だいぶ前に AURA を見たのですが、酷かったナリ...orz
原作レイプとかそういうのではなく、逆に驚くほど原作に忠実なのですが、ただただ下手というか。
何も考えないで脚本を書くと、本来小説一本すら映画に収まらないのか、という事実を痛感しました。普段みている脚本家の方たちが上手だから、普通に納まるものだと錯覚してた、という事実に気がつけたことが収穫です。
本当に、ただひたすらアニメを作るのが凄く下手だったといった感じ。原作は大好きなので、大いにショボーンです。
下手さの中核には、単純な技術力不足もとても大きいのですが、それに加えてその作品の大事なところを抽出できていないという点も大きいのじゃないかな、と思いました。
たとえば、実際に原作後に買収劇があったので、ドイト → ドンキホーテになっているのですが、これを単純置換して、その上でセリフをつじつま合わせしてしまったのは本当に戴けませんでした。ここはホームセンターだから良いのであって、それが激安量販店になってしまっては、良子のこれからの「冒険」が、クリエイターから単なるお店で遊ぶことなってしまって、何じゃそりゃと。
その408 (お題:定額小為替)
同人誌の通販で使っておりました。
今は全くつかっていないので、定額小為替についての細かいところはすっかり忘れてしまいましたが、「○○円分の切手」と並んでとても便利だったと記憶しています。
「住所」という情報が昔は今ほどクローズじゃなくって、コミケットカタログのサークルカットに普通に住所書いてたりしました。わたしもカタログの住所をみてお手紙をくださった方とか、お手紙を送った方とかが居て、本当に今のメールアドレス程気軽に扱える情報でした。
そういうご時世ですので、住所という情報だけでお金をやり取りできるのはやはり相当に便利に感じたのですが、この便利感はなんとも昔の話チックですね。年もとるわけです。
手数料値上がりのお話は初耳で、一枚100円ではもう同人用ではサークルとして使えませんね。それとも おまけで便箋つけるとかするかしら?(って、もう便箋も定番同人アイテムじゃないですよね...orz)
・・・という感じでよろしいでしょうか。
その409 (標高さんのOOdisについて)
話題の 標高さんの一連のエントリー。
存在しない記事 - 標高+1m
ミスを減らす - 標高+1m
http://d.hatena.ne.jp/ympbyc/20130614/1371239578
の感想を、ざっくりまとめると
- 標高さんはオブジェクト指向がとっても嫌い
- 標高さんはオブジェクト指向を理解した上での判断と言うけれど、その割には「オブジェクト指向のクソなポイント」を説明する際に出す具体例が尽く「変」で、「ホントにOOP理解してるのかな」と首を傾げます
- 一方で概念的な話をするパートでは あまり破綻はないし、一理ある面白げ話をされるので、これは「受け売り」なんじゃないかな、と推測します
- ヘイトスピーチをオブラートで包めばフォーマルだという勘違いをしているのは致命的です
「受け売り」(と推測される)部分と「自筆」(と推測される)部分のクォリティの差が著しく、多分(受け売りだから)一理あると思われる「OOPの問題点」や「関数型言語の素晴らしいところ」の説に全く説得力を持たせられていない。というよりも逆に眉唾にしてしまっている。
なので、全部読んでも 伝わるのは 標高さんが OO を親の敵のように憎んでいるということだけになってしまって、関数型言語の良さとかイミュータブルなことはどのような利点を生むかとかは、全く伝わってきません。それはとても残念なことだと思います。
でも、
今日言いたいのは「関数型の方がオブジェクト指向よりも良い」という事ではなくて単純に「オブジェクト指向は悪い」という事
存在しない記事 - 標高+1m
であれば、ある意味 ご本人の意図通りなのかもですね。;-p
その410 (一匹のモヒカンとして)
この標高さんの一連のエントリーのイけてない部分は、自身の OO に対する評価に誤りがあるかもしれないとは1ミリも思っていないところです。「OO=クソ」は普遍の真理で動かない。だから OOをちゃんと理解すればおのずとOOをdisるハズ、という論理展開には狂気を感じます。*1
ですので、誰かがそれは違うよ、とか、あなた OO よくわかってないから評価を誤っているんじゃ無い? と言っても全く届かないでしょう。というか現に届いていませんにゃー。傲慢は良いけど独善はいただけないなぁ。*2
この標高さんネタははもっと荒れると思ってました。
参照透明性なネタでちょっと煙に巻いている感はありますが、自分が価値を理解できない物は価値を持たない物と独断し、世間でそれがもてはやされるのはアンフェアな力学が働いるせいで、にも関わらず OOを擁護する奴は正常な判断が出来ていない奴――と偏見を振りまく姿は static おじさん を彷彿させます。
OOを
これを実世界*3に当てはめてみると不自然さに気付きます。
*3 オブジェクト指向がモデリングを得意とするとしている分野ですよこれは
ミスを減らす - 標高+1m
と書きながらdisる致命的な脇の甘さも持ち合わせていますので、はてな村のモヒカン軍団のヒャッハーの餌食になるのは免れないと思っていました。それを某JavaBlackさんが引用しながら釘バットをフルスイングするのは、もう一つの様式美ですよね。
* * *
ところで、
この記事ですが、正直ここまでバズるとは思っていませんでした。バズったのはよいことなので感涙に咽ぶ限りです。
バズるってそういう意味でしたっけ?
その411 (Raspberry Pi とか Arduino とか買ったった)
ソフトウェア作りたいよー。マイコン大好きだよー的なストレスに負けて、Arduino と Raspberry Pi を買ってしまいました。
まず最初に買ったのは Arduino。お仕事ではすっかりソフトウェアじゃないものを開発する人になってしまったのですが、あたしやっぱり CPU+ファームウェアが好きだぁ。ブレッドボードにLEDと抵抗差して、PWMでジワッと点滅させるだけで癒やされます。はふー、今度モーターと圧電ブザーも買ってこよう。
で、調子に乗って Raspberry Pi も買っちゃいました。こちらは普通に Linux マシンなので新鮮みは乏しいですが、SDカードにOS入っていてブートする当たりは、なつかしの「起動ディスケット」という感じでいいですよね♪
Raspberry Pi を買った動機は、やっぱり お子さん一人一人にブレッドボードと Arduino を配るべきだよねー、と思ってしまったこと。となれば、あれれ、開発マシンが無いとねとおもって、そんな時は Raspberry Pi があるじゃん!と物欲連鎖。
なので Arduinoの開発環境を Raspberry Pi 上に構築するのが目的だったのですが、いざ届いてみれば、Raspberry Piをターゲットとして OS を作るとかのほうが愉しいかも!とか思い始めている今日この頃です(そこまでのエネルギーがあるかはかなり懐疑的ですが)。
その412 (SystemC 始めました)
SystemC は 2006年くらいが日本でブームのピークだったのかな?と、書籍の発売年次をみて思います。わたしは最近仕事で始めるまでは全然しらなかったのです。
SystemC は SystemC という言語があるわけではなくって、実態は単なるC++ のライブラリ。ですが、かといって C++ の普通のコードのノリで書いてはダメというか、動作合成できなかってりするので、SystemC の、言語ではないけれど 言語といいたい微妙な感じをなんと言いえば良いのかしら、とモヤッとしていたのですが、これは「文化」なのかもしれませんね。
とかなんとか書いてますが、本格的にSystemCでの開発にはいるのはもう少し先のお話で、まだ練習半分でちょこっとBCAレベルでプログラミングしただけでわたしの感想ですので、まぁ、戯言です。
どのようなコードを書けば、どんな感じのRTLが吐かれるかを考えながら コーディングしなくちゃいけないあたりは、酷く懐かしいものを感じます。動作合成ツールが有償で、しかもなかなかお高いものばかりなのも懐かしい感じ。
LSIの開発となると、しっかり仕様作って、仕様を機能モデルを作ってがっちり評価検証して、その後回路設計に落として、がっちり検証するという、ウォーターフォールでも全く無問題なスタイルで開発できるので、それはうらやましいなと思ったり。そういう流れの中で初めて SystemC が C++ であることの優位性が発揮できるのだから、これも含めて文化なのかも。
その414
ひさしぶりに「つれづれ」なエントリーを書いたのですが、サブタイトルをつけない理由(気軽に適当を書きたいので、たどりやすいアンカーを張られたくない)も、もういい加減薄れてきたので、試しに書いてみました。
・・・が、なんか蛇足感半端ないですね。