ソニーのレンズカメラ

しばらく前から噂に上がっていたソニーの「レンズカメラ」がようやく正式発表に成りました。

ソニー、スマホをモニター代わりにする「レンズ型デジカメ」海外発表 - デジカメ Watch Watch

久しぶりにワクワクする製品で、カメラ――特にコンパクトカメラ界隈では「スマホがカメラを潰す」と言われ続けてきただけに、「スマホと共存」というキーワードだけで、根拠はありませんが、なんとなく未来が明るい気がしてしまうのは面白い現象です。

さて、レンズカメラの主な特徴を箇条書きいたしますと、

  • 交換レンズのような外観に、レンズ、撮像素子、画像処理エンジン、microSD スロット、バッテリーを持つ
  • 基本的にはスマートフォンに取り付けて WiFi 経由にて制御するUI
  • NFC を持つスマホならば、「レンズを取り付ける」だけで 撮影のための設定が完了
  • 本体にもシャッターボタン・ズームレバーを装備しているため、ファインダレスでよければ単体での撮影も実は可能

と言った次第。

この「レンズカメラ」。カメラの進化系統樹に組み込むとするならば、わたしは リコー GXR の 進化系につけたいと思います。*1

スマホの交換レンズ」というコンセプトであれば、理想的にはストレージと電源もスマホ側から取りたいところですが、スマホ側にその準備が出来ていませんから、このセグメント分けになったと考えています。

で、そう考えると GXR の「カメラユニット」とほぼ等価かな、と考える次第です。GXR はカメラというModel と VC を切り離した画期的発想のカメラですが、なぜだか VC 側を一種類しか用意しなかった変なシステムを組んだカメラでも有りました。

万能で中庸なVC じゃなくって、もっと尖ったやつ・・・一眼レフスタイルとか、ビデオカメラスタイルですとか、超コンパクトなVC とか・・・を用意するべきだったかなぁと思います。

一方で「レンズカメラ」は VC にスマートフォンが使えるようにすることで、そこらへんは自社外にオープンになっている、という愉しみがあります。故に期待してしまいますね。


* * *


このカメラのネックはバッテリーかな、と考えています。スマホと本体、2つのバッテリーのうちのどちらかが切れてしまえば(事実上)撮影は続行できないという意味で「弱点」かな、と。ただでさえ小さい本機ですのでバッテリー容量的にも厳しいんじゃないかな、と想像します。

本体スペースとバッテリー容量の問題さえなければ、レンズカメラがモバイルバッテリーを兼ねる機能が将来付けば(徹底的に無線に拘った本機ですので Qi で解決するのかな?)逆にメリットになるのかしら、とも思うのですが、物理的に難しそうです。

と、同時にスマートフォンのいびつなところは拡張性の乏しさにあると感じました。iPhone のドックあたりは夢が広がりんぐなのですが、あれはステイメンたるiPhone に オーキスくっつけてデンドロビウムにしてしまおうという方向性で、その逆も欲しいな、と思う次第です。

電源供給と本体へのマウントポイント(ハードポイントみたいなの)の共通規格があるとはかどりますね。


* * *


実のところ、単なる「レンズの形をしたコンデジ」なので、技術的には面白みがないのですが、メタファを与えることで 新しいものにしてしまう、というあたりはとても素晴らしいなと思いました。また、新しい技術というわけじゃないですが、こんなに小型化できたものだと言う点は、ソニーの小型化技術は本当に凄いですね、と感嘆です。

個人的には単体撮影に興味を覚えています。もしソニー規格のEVFを装着可能なアクセサリーシューがレンズに付いていると、レンズとEVFだけで撮影できたのですが(w NEX-5 シリーズのコネクタでもいいかも。

話は横にそれましたが、カメラというモデルに対してスマートフォンというView-Controller をアダプトしたのが本機の売りで、ユーザーの好み・こだわりというのは 本質であるモデル側より VC 側のほうに強く紐付けられるものです。ここがソフトウェア的にフルカスタマイズ可能というあたりが、本機の魅力だと思います。

弱点としては、カスタマイズがあくまでソフト的である点ですが、ハード的なものとしては、近未来予想として、ギズモショップあたりが レンズカメラを固定できる アクセサリーシューを追加できるような iPhone ケースを出すのじゃないかなとか、予言しておきます。*2

一発屋で終わりそうな気がしますが、市場として定着すると面白いので、成功してほしいな、と思います。

おまけ: CameraRomoteAPI_API-Reference_V1.00 をちょろっと読んでみました

JSON-RPC で、結構簡単に扱えそうです。わたしは、Raspberry Pi + シェルスクリプトで カメラを制御できちゃうな、と思いました。(わくわく)

そんな夢が広がりングだったので、早速 CameraRemoteAPI の API のリファレンスを get して読んだのですが、、、あんまりできることなさそうなのですよね。

静止画撮影についての制御API

  • actTakePicture() →
  • awaitTakePicture() →
  • actZoom( {"in"|"out"}, {"start"|"stop"|"1shot"})

くらい。他にも、セルフタイマー(off | 2s | 10s) とかライブビューのStart/Stop もあるけれど、基本的にシャッターを押すタイミングと画角制御しかできることないです。

露出制御もフォーカス制御も出来ないようですね。残念じゃ―。無念ジャー。せめて露出補正くらいは出来てもいいと思うの。ズームも、ステップズームを実現するための、画角を引数に取るバージョンがあっても良いのになぁと思ったり。ズームは getEvent で現在位置(%)がとれるので、頑張れ(はぁと)ってことかも。

動画も Start/Stop しか出来ないですね。


全体的に(´・ω・`)な感じ。

これの設計思想は「撮るのは(フルオートで)俺に任せろ!」っぽいですね。撮影するタイミングとか、撮った後の画像加工も撮影行動とパッケージングできるとか、そういう方向性でアプリを楽しもうという感じです。もうちょっと色々できるのであれば、買ったんだけどなー。

いや、ちょっとまって。ファーストインプレッション: “レンズだけサイバーショット” その使い勝手は - ITmedia NEWS のレビュー写真をみると、露出モードの変更をスマホ上でやってるのですよね。

撮影機能としては必要最小限にとどまっており、撮影モードはフルオートの「おまかせオート」「プレミアムおまかせオート」が基本となる。QX100は絞り優先AEでの撮影が可能だが、ISO感度設定はオートのみで、連写やピクチャーエフェクト、パノラマ、電子水準器なども備えない。露出補正とホワイトバランスの調整は行える。

・・・てことは 隠しAPI があるのかしらん?

うーん。やっぱり実機買って、体に聞いてみるしか無いのかしら?

*1:さらにそのミッシングリンク的の存在として、ポラロイドの CES2013で発表された ポラロイドの Android カメラがあります。あれもレンズ+撮像素子が交換レンズのような姿にまとまっていて、丸ごと交換、というコンセプトでした。・・・面白そうだったのですが、続報全然ききませんね

*2:マウントケース的な夢でいえば、チルトモニタやバリアングルモニタもケースで実現できますね