日本語キーボードの一番下の段
FILCO のマジェスタッチ・テンキーレスは、テンキーレス派 かつ Cherry MX黒軸党の私にとって、とてもうれしいキーボードです。で、先日プチレビューとしゃれ込んだのですが、これが 2チャンネルのテンキーレスキーボード板で取り上げられていて、そこからどうしてそういう風に話が転ぶのかわからないけれど、日本語キーボードの一番手前のキーの幅について、盛り上がっているのでした。
スペースバーの長さ。個人的な感想としては、マジェスタッチ テンキーレスの場合、FILCO ここだわりどころとして確かに長めだと思います。でも私には十分「普通」の範疇内だと感じます。と言うのも、そもそも日本語109キーボードの最下段に「標準」の大きさや位置なんてあるのかなぁと思っていたからです。
世の中の日本語キーボード、最下段のキーの大きさバラバラですし、せいぜいルーツであるIBM 5576-A01 鍵盤 にどれだけ似ているかくらいじゃないのかな?、と思ってました。
でも、改めて過去のキーボードを眺めてみると、どうやら「標準」はあったみたいです。
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変態キーボードというのは、省スペース化や拡張キーを増やすため、また、ある特定の嗜好を満たすため、既存のキーの位置や大きさを変えてしまったり、本来もうけられるべき隙間をなくしてしまったキーボードです。
残念なことに日本語109キーボードは、基本的に変態で、変態ゆえにキーの標準的な位置や大きさは定まっていません。その前身(ゲイツ関連キーの増える前)の106キーボードも、ルーツは IBM の5576 鍵盤なのですが、俗にJIS配列という物の、JIS X 6002-1980 のカナと特殊記号の配列だけ しか準拠していません。(参考:週刊「鍵盤世界」)
ただし、106キーボードに関しては、私の乏しいキーボードコレクションを見る限りですが、だいたいが 5577-A01 と同じようなキーの大きさと位置をキープしてたみたいです。
スペースバーはだいたい 2.5キー分の幅。[Ctrl][Alt][無変換][変換][カタカナひらがな] がそれぞれ 1.5 キー分。[Ctrl]と[Alt]の間に1キー分の隙間。だいたいこれにあわせていた様子。と、言葉で書いても解りにくいので、ぶっちゃけこんな↓感じです。(A01 はAltキーのキートップが一部へこんでいるので 出っ張っている部分は 1キーちょい分なのですが)
(今では Realforce がこのバランスを保っています/手頃な写真が無かったので ^^;)
デファクトスタンダードはあった、というところなのかしら。
でも、この「標準」もつかの間。Windows 95 と同時に 左右に Windows キーが一つづつ、アプリケーションキーが一つ増えました。って・・・・幅足りないじゃん。どこかのキーの幅を詰めないと入りません。
で、Windows 95 時代のキーボード。
(NMB: 何とか既存キーを等幅に。でもスペースキーが左にオフセット)
(Acer: 右Altにとばっちり)
(富士通: カタカナひらがな にとばっちり、右Altもちっこい)
(IBM: 右Altにとばっちり)
・・・見事にバラバラ ....orz
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一度まとまった日本語キーボードの事実上の「標準」も、AT互換機の本格普及の前に泡と消え、最下段のキーは位置も大きさもすべてバラバラになってしまいました。
デファクトのスタンダードも打ち砕く。おそるべし、ゲイツっち。
捕捉
日本語109キーボードですが、現在は JIS X 4064-2002 の OADG109A型キーボード ということになります。配列図は「付属書2(参考)論理キーと物理キーの対応」の 付図1に納められていますが、
この付属書(参考)は,本体および付属書(規定)に関連する論理キーとの対応の例について捕捉するもので,規定の一部ではない。
と但し書きがはいっています。単なる例ですよ、と言うこと。また、元ネタであるOADGの資料(PDF)では、「ピッチおよび刻印は定義しない」とあります。
図の見た目として最下段キーの間隔は、上の IBM Space Saver II Keyboard (JP) や Acer 6516-Mとだいたい同じ、「右Altとばっちりタイプ」です。
・・・せっかく落ち着いたと思ったのもつかの間、このあと キーを3つ増やした元凶の Microsoft 自体が 右Winキーを省略しはじめちゃったのは、まぁなんというか(^^; 最初からそうしといてよ、と言いたいです。