あたしのカメラ、あたしの写真

こんなカメラを使っています。

Nikon S3 の復刻版ブラック、ご縁でかなりリーズナブルな価格で手に入れました。というより「これはご縁だ」と感じたから、ずいぶん写真から遠ざかってしまっていたのに、えいっやっ、と買ってしまったのです。

猫はずいぶん昔から Nikon が大好きで、写真にベタはまりしていた頃は Nikon の FE を使っていましたし*1、猫が持っている一番いいカメラは Nikon F2 photomic A です。

大人になってからは特に Nikon! Nikon! 言うでもなく過ごしてたのですが、全然予期せず Nikon さん関連のお仕事に関わることになって、そのゴニョゴニョゴニョで「S3 安いけどどう?」だったので、「ああ、これはご縁だぁ」とすんなりお迎えすることにしたのです。


さてさて、レンジファインダーのカメラで写真を撮るのは凄くたのしいので、休日の外出には(ちょっとした近所のお買い物でも)肩に このS3 を下げて歩いてます。意外にも結構使っていて、去年の夏に買ってから今までで、そろそろ撮影枚数が1000枚超えたか、というところ。

しかし、この S3、好きなカメラかと聞かれれば「大好き」だし、感触やフィーリングも F一桁と同じ良いモノですが、良いカメラかと聞かれれば「うーん」と言ってしまいます。

気になる欠点はこんなところです。

  1. フレームがアルバタ式でパララックス補正すらない
  2. 虚像式レンジファインダー
  3. 露出計が内蔵されていない
  4. マウントが S マウント

最初の二つはファインダーに対する不満。パララックス補正というのは、レンジファインダーはレンズを通した映像を見ている訳じゃないので、撮影距離によってレンズとファインダの位置の違いによるズレがでちゃう、それを補正するためピントを合わせた距離によってファインダー内の枠表示を動かす仕組みのこと。
虚像式レンジファインダーというのは、レンジファインダーには2重になった像を合わせるタイプのピント調節機構なのですが、この合わさる像の作り方の方式のこと。虚像式より実像式のほうが像の境目がハッキリ見えるので、上下像を合致させるようなピント調節もできて、より精度が高いといわれてます。

ベースは古いカメラだし、当時としても廉価版のなファインダです。つまり S3のファインダは相当低スペックです。ただ、ここらへんも逆にアバウトなフレーミングを愉しむくらいの勢いで使っていればそんなに気にならないかも、と思います。(ちとアバタモエクボが過ぎるかしら)

露出計がないのは、あたしみたいな軟弱猫には結構な試練です。外部露出計も使うのですが、スナップなのでだいたいが人間露出計で撮っています。人間露出計・・といったらカッコ良いのですが、種を明かせば「光を読む」なんてカッコいいものじゃなくて、猫はフジのフィルムの箱の裏側に書いてあった「絞りはF11固定、ISO100の場合、快晴は 1/250 秒、晴れは 1/125 秒 」・・・てので撮っています。あとはそこから日陰だったら2段落ち、と言う風に使います。アバウトですね(^^; もっと良い覚え方に 感度分の16 とか 感度10倍分の5.6とかがあります。(最近知ったよ・・)

失敗も多いけど、露出計は無くても何とかなら無くもない、という感じです。テキトーにそれっぽく露出を合わせているので意図した効果じゃない写真になってたり、せっかくのシャッターチャンスが台無しになってたりもよくするのですが、道楽の写真なのでま、いっかな、みたいな。

最後の「マウントがSマウント」は、レンズの入手がたいへんってことです。Nikonもボディ復刻だけでレンズ単体の販売はしてくれなかったから、中古を買うしかありません。コシナさんがフォクトレンダーブランドでSマウントのレンズを出してくれてなければ、いくら Nikon好きの猫でも S3は買いませんでした*2

コシナさんのお陰で Sマウントでも 現実的な価格で良いレンズが手に入ようになったのですが、それでも Mマウントのほうが、いろんなメーカーのいろんなレンズが手に入って楽しいのです。一眼レフでは夢だったユニバーサルマウントもレンジファインダでは当たり前、それが醍醐味の一つですから*3、やっぱり Mマウントだったらなぁ、と思わずにいられません。また、デジタルなレンジファインダーカメラもやっぱり欲しいので、そのときレンズが共用できないというのも困りものです。(ボディだけ買えば・・というわけに行かないのが悲しい。)


これら S3 の弱点は、S3が復刻版で昔のカメラだからという所に帰結します。多分、ちゃんとレンジファインダーで写真をとるなら、BESSA R2A のほうが良いと思います。安いし、S3より性能は全然いいし。

それでも、S3が好きなのは、Nikon F 一桁を連想させるメカの感触です。あと、等倍のファインダ(両目を空けて撮影できます)と右手人差し指側にあるフォーカシングダイアルも忘れちゃいけない。と、いうのも、猫は自転車で走りながら写真を撮るのも好きで、等倍ファインダで両目を空けながら、右手だけでピントまで合わせてパシャ!が出来るのはとても便利。――いつか事故るぞ、あたし。


そのうち、エプソン R-D1s(か、その後継機)とか買って、デジタルなレンジファインダーカメラの環境を手に入れたいのですが、ここ5年がフィルムで楽しめる最後だと言われてますし、コダクロームで撮れるのも今年が最後。今だけしかできない贅沢として 当面はフィルムで写真を撮りたいなと思ってます。

その相棒は、FM3A と この S3 です。両方とも 21世紀に製造された、というのが嬉しいですね、安心して振り回せます*4。なんだかとても贅沢な事をしています。でも、今だけしかできない贅沢だから、せいぜい堪能しようと思います。

*1:FEは、高校生のときは毎日持ち歩いていて使い潰したカメラです。一緒に川に落ちたり、山道を転落したり、ジュースを頭から被ったりと苦労を共にしました。(ドジなあたしでゴメン)。毎年のお年玉はこの子のオーバーホールにつかってましたが、部品がなくなったので修理不能になって泣く泣くお別れしました。なので FEの事実上の後継機 FM3A が出たときは、生まれて初めてカメラを発売日買いしてしまいました。

*2:猫は SC-SKOPAR 35mm F2.5 と S-SKOPAR 50mm F2.5 を使ってます。フジヤカメラさんで2本かって 5万円でおつりが来るというとてもリーズナブルな値段で購入しました。S3に付いてきた オリンピックニッコールは、大きいし、フード付けると蹴られるしなのであんまり使ってません

*3:DNFさん とかを見ていると、いろいろレンズが欲しくなって仕方がないです。

*4:カメラに100%の信頼が得られない、という状況は写真を撮るヒトにとって想像以上のストレスです。だから壊れたら完璧に直せる、というのはとても大事。